新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

ホモの生物学

10月28日号はScience and Technologyのページで、人間だけではなく動物にも見られる同性愛の「なぜ」について紹介しています。The Economist誌は、読み方によってはアングロサクソンによる政治的宣伝(特に国際政治に関する意見の数々には要注意)と見なせなくもない要素があるのですが、私が長年読み続けている理由の一つに、科学技術に関する記事(すなわちScience and Technologyのページですが)の切り込みが深くなおかつ判りやすいということが挙げられます。
今年の初夏くらいでしたか、「ポアンカレ予想」がついに証明されたことに関する記事があり、「ポアンカレ予想とは、三次元におけるボールとドーナツが数学的には異なる物体(球とトーラス、ですかね高校生の数学では。)であることの証明は二次元的に可能だが、同様に四次元における証明が三次元レベルで可能である、とポアンカレと言う数学者が予想したこと」だと言うような説明がありました。そうか、これを証明するのに世界の数学者は何百年もかけたんだな、と単純に関心したわけですが、トリビアと言ってしまえばそれまでの話もしっかりと切り込んで判りやすく解説することにおいて、こんなに手を尽くしているメディアは他にない(ニュートンや「学研の科学」を除けば)と思うのです。

話があっちに行ってしまいました。さて、動物にもホモ、いや同性愛があるかと言うと、それはあるのだそうで、アリストテレスの昔から、ホモのハイエナが性行為をすることが目撃されたり、とある種類のメスのイルカ同士が鼻(くちばしのことかな)を使って性行為をする、オスのアマゾン川イルカは相手の鼻の穴(これは頭の上の穴のことでしょう)に性行為を行うなど、日本語だと語彙に苦しむような記述もきちんと、あるいはさらっと説明しています。

で、肝心の「なぜ」なのですが、同性愛者は異性愛者の子供を可愛がるので総合的に種の保存に適するのではないかという仮説が紹介されています。また子孫を残さないはずの同性愛者の遺伝子がなぜ生き残っているのか、については、所謂両刀使いにより引き継がれたか、またはオスとメスで同性愛を発現させる遺伝子が異なり、何らかの組み合わせにより発現するため異性愛者間で引き継がれているのではないかとの仮説が触れられていますが、いずれにしても証明は難しい、ということのようです。

次回からは米中間選挙に注目した11月4日号について紹介します。