新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

アメリカ中間選挙

11月4日号はLeader(巻頭記事)とSpecial ReportそしてUnited Statesの3つのページを割いてアメリカ中間選挙について述べています。今日はそのうち、Leaderの「ハゲタカ、集まる(Vultures gather)について。
ハゲタカファンド、とかいう場合のハゲタカ(Vulture)ですが、食われるのは誰か、といえば、世論調査で圧倒的に不利とされる共和党の改選議員たち、ということになるのでしょう。なお上院は圧倒的に共和党が多数で、改選議席を差し引いても多数は動かないので、議論の対象は下院となります。
「あなたたちは少し長くここに居すぎたようだ。」1653年にオリバー・クロムウェルが議会を解散したときの台詞を引用しながら、世論調査の結果などから米共和党が来る中間選挙で敗北し、下院で少数与党に転落することを予想しています。その理由がまた明確で、「行政府の監督責任を担う議会がその役目を果たせなかったから」という説明がされています。とっても説得的です。ブッシュ政権は経済運営こそそこそこの評価を残しているものの、イラク戦争を巡っておきた問題(グアンタナモ収容所・アブグレイブ刑務所での拷問など)、政府高官のスキャンダル等を見事に見逃した(First and foremost, it has failed in its duty of oversight)と書かれています。
そのほかにも、マーク・フォリーの電子メールスキャンダルやハリケーン「カトリーナ」の後始末、ばらまき行政など、失政続きの共和党政権を盛り返すには「一旦下野して出直すのが良策」との書きぶりになっています。ただ、今回はあくまで中間選挙で大統領のポストが危ないわけではないので、たとえ議会が民主党になっても、テキサス州知事時代に少数与党を経験しているブッシュ大統領は、民主党が多数となる議会になっても最後はやりたいことを貫くだろう、あるいはクリントン時代の後半のようにそのほうが上手くゆくかもしれない、と述べています。最終的には上手く行かなくなった与党には罰が与えられるべきなので、クロムウェルの時代と同じように民主党に多数を明け渡すだろう、と締めくくられています。Special reportその他については明日以降に。