新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

NATOの明日

11月25日号は、冬休み前の感謝祭明けで、忙しい人が多い週ということなのかどうか、特集記事もなくページ数も少なくて、さらっと読み通せそうな分量です。
まずLeadersですが、まずはWall StreetもしくはNYSENasdaqについて、多極化する証券市場間の競争に曝される中、さまざまな規制への対応がハンディになる心配はあるか?というような議論です(全体としては楽観的なトーン)。さらにNATOの今後とアフガニスタン問題、先週亡くなったミルトン・フリードマンへの追悼記事、インターネット市場(BtoC)における不正について、レバノン問題を中心とした中東情勢の分析、ヨーロッパの反イスラム文化を象徴するブルカ・スカーフ着用禁止問題などが巻頭を飾っています。

更にSpecial reportはNATOの今後について掘り下げた分析を行っています。冷戦後、「敵」を失ったNATOはバルカン、アフガンと短期的な存在意義を見出してきたが、ここにきてその将来についてはさまざまな議論があること、曰くEUとの重複、トルコの処遇、更には世界的問題に対応するため加盟国を世界に広げるべきだとする意見、いや、大西洋を取り巻く米欧の関係を重視すべきだと言う意見、その他。NATOは、明白に軍事同盟だとすれば、軍事的利益を優先して枠組みを決めればよいのに、簡単にそうできないところに現代社会のパラダイムが変化しつつある兆候が見て取れるのではないかと感じました。中でも、「NATOは所詮国連にはなれない」という分析がなされるに至っては、「軍事同盟」としてのNATOを当事者たる欧州がどう捉えているかを間接的に物語るようで大変興味深かったです。

これと併せてAsiaのページで紹介されている日本そして自衛隊の記事を読むと、ミリタリーに関するThe Economistの筆者の問題意識がどのような方向を向こうとしているかがおぼろげながら見えてくるような気がします。すなわち決して安定的ではない、変化の激しい世界において、ミリタリーは不可欠だがアライアンスは柔軟に再定義されるべき現状にある、というような。。

Asiaでは、カシミールの住民を襲う内戦後のPTSDについて書かれていたのが目を引きました。

是非とも飛ばしたくないのはフリードマンに関する評価です。Obituaryがロシアのセルゲイエフ将軍で、さすがフリードマンの死はLeaderに値する、という評価なのでしょう。じっくり読んでから書こうと思います。