新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

Don’t do it !

12月9日号は、Leaderのトップでベーカー元国務長官とハミルトン元下院議員他のイラク・スタディ・グループによる勧告を「採用・実施すべきでない」との明快な論評を紹介しています。

内容を詳しく読んでいくと、勧告の内容を頭ごなしに否定しているわけではなく、「現在の戦略はすでに破綻している」とするその内容には積極的な評価すら与えています。ただ問題となるのは、国を立ち直らせる全ての可能性を検証する前に撤退するとすれば、敵を勇気付け、交渉力を失うことは明らかなため、アメリカ外交の責任者としてブッシュ大統領は勧告にNoと言うべきである、と結んでいます。

The Economistらしいスタボーンな論評だと思いますが、言っていることはそれほど過激でもなく、撤退の締め切りを明示することが交渉力を失う原因になるよ、ということです。

今年の夏、レバノンに侵攻したイスラエルがヒズボラのロケット攻撃に手を焼いたときのように、勝利のハードルが低いほうが有利、という考え方に当てはめて言えば、ブッシュ大統領のアメリカが目指すハードルは果てしなく高いと言えます(民主化とイラン封じ込めの二兎を狙う)。逆に、武装勢力からすれば、ゲリラ戦の結果、アメリカが撤退してくれればイコールそれが勝利、と喧伝することができるため、勝利のハードルは結構低いところにあると言えます。

そのほかのLeadersは、高級野菜が起こす環境被害、スーダン内戦問題、世界市場を席巻するオイルダラー、ラ米の政治と民主主義、イギリスの核戦略についての論評などが紹介されています。