新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

危ないロシア

12月16日号はLeadersのトップでサハリンⅡプロジェクトの株式の過半数が地元ガス大手のガスプロムに買い取られることになったという事件を切り口としてロシアとつきあうリスクについて取り上げています。日本ではあくまで民間直接投資のプロジェクトに関するホスト国との調整、と言った感で報道されているように思いますが、The Economist誌は明快にロシアとのビジネスリスクであるとの立場を取っています。

すなわち、サハリンⅡプロジェクトだけでなく、かつての衛星国で西側寄りの政権が出来たとたんエネルギー価格を引き上げたり、自国に有利な商談とならなかった案件に関して不可解な技術トラブルが発生したり、ことエネルギー問題に関しては大変「粗野な対応が目立つ」というのです。

こんなことをしていては海外の投資家にそっぽを向かれるのが落ちだ、というコメントに加え、ではなぜロシアはそのような態度を取るのかと言う点については「エネルギーこそ武器」であるとする現政権の考え方に起因する、と分析は続きます。これには「ギャング主義すれすれの物言い」、という形容すら付きます。極めつけの例として引用されているのがロンドンで何者かに暗殺されたリトビネンコ氏の事件で、政権の関与を強く示唆する記事のくくりは「ロシアのビジネスやファイナンスを決定するのはますますクレムリン」という構図になっていることを指摘しています。

世界の石油資源が枯渇し、中国の需要が増加する中にあって、90年代に需要増を賄ったロシアが生産統制に走ったことがきっかけで石油が高騰した、今後の帰趨を決めるのはプーチン大統領が増産を行うかどうかにかかっている、との結論が書かれていますが、この見方が当たっているとすれば、日本にとってはかなり厳しいパワーゲームになるのではないかと思います。

その他リーダーはピノチェト元大統領の死、トルコのEU加盟問題、金融センターを目指すドバイ、他国語を話さない英国人という内容です。ロシアについては本文にも記事があるため、そちらを読んでから日本との関係について少し深く考察してみたいと思います。