新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

英語を話す人々

12月16日号は、Britainのページで世界各国の英語習得熱と、それに合わせた英語そのものの変質について論じています。それによると、外国語で自分の考えを言える英国人は3割程度で、ハンガリーに次いだ(おそらく欧州では)低さだとか。教育問題とも絡み、どのように外国語に対応するかは英国人にとって建前上は将来への課題、ということなのでしょう。

また世界の四分の一が英語を話し、第一外国語としての英語も今日ほど数多くの国で話されているという状況が続く中、将来的にはEnglishではなく、Glolishとでも呼ばれる簡便な英語が使われるようになるのではないか、という予測もあるようです(IBMを退職されたフランス人による)。熟語や慣用句を廃したわずか1500語からなる意思疎通のためのコトバを、The Economist誌は"Decafeinated English"(カフェイン抜きの英語)と評しています。これだけ自国語を多くの国の人が話すと、(アメリカ人は他の言葉を話さない、とはよく言われる話だと思います)外国語習得熱も上がらないのではないかと思われますが、名門大学院大学のひとつ、London School of Economicsでは外国語を勉強する学生も多いのだとか。LSEレベルに来ると、学生の視野も広く、就職機会も全世界でしょうから、まあ当たり前といえなくもない気もします。例としてLSEを出してくるあたり、やはりハイソなメディアということなのか、The Economist誌も「外国語習得にはメリットが多い」という括りで外国語へのチャレンジを勧めています。

同じ外国語教育問題でも、ついぞ内省的な「では日本語教育をどうするのか」的な議論から抜け出せないレベルのメディアとは、やはり視点が違います。もっとも日本語は英語と違い、全くのローカル言語ですから、外国語習得の必要度は比べ物にならないと思いますが。

個人的には1500語で英語が話せるという環境は大変魅力的です。と同時に、文学や歴史等、英語の持つ文化的な香りはあっさり飛んでしまうのでしょうけれどね(デカフェとは、巧いことを言ったもんです)。