新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

不正解

昨年末に引き続き、12月23日号から。
Asiaのページでは、米中経済協議や日本の教育改革、ポル・ポト派の戦争裁判、インドの司法などについての短信につづいて、年末特集記事としてチンギス・ハーンをめぐる蒙・中間の歴史認識問題が取り上げられています。この記事はとても面白そうなので、日を改めて書きたいと思いますが、まずは米中協議と日本の教育改革に関する記事について。

昨年末、アメリカのポールソン財務長官やバーナンキFRB議長ら、財政関係のトップによる中国訪問について、貿易不均衡是正につながるような目新しい成果は何もなかったと野党から批判を受けているが、両国政府とも貿易不均衡がちょっとやそこらの努力で是正されるとは思っておらず、話し合いが多極的かつ広範囲に続けられることこそ長期的な解決への正しい方向性なのだ、ということをThe Economistは言いたいらしいです。その意味でポールソンミッションは幅広い機関から多数の参加があったようですが、これにより閣僚レベルから実務レベルまでの厚みある交渉が可能となったとすれば、それはまさに成果と呼びうるものだと思います。

日本から見ても、米中間の経済関係が安定する方向に向かうとすれば、建設的な関与の機会が増えるであろうことから、その変化は好ましいとされるでしょう。

その日本ですが、教育基本法改正を巡る記事の中で、一寸辛口の批判を受けています。その中身は、60年間変わっていない現在の教育システムは確かに見直しが必要であろうが、ポスト工業化を果たした国として、「愛国心」だの画一性だのを強調すべきではなく、落第や飛び級など他の先進国で採用されているシステムを導入したほうが現代社会に適応する創造力を養う上では良いんじゃないの、と言った話なのですが。

この記事、日本国内の議論が小手先のシステムではなく教育基本法の根本に議論が及んでいることを意図的に無視しているようにも読めます。だとしたら、タイトルの「不正解」は正しくない方向性の記事を書いたThe Economist誌にこそ贈られるべきものではないか、というと新年早々辛口ですかね。

いずれにせよ、今年もよろしく御願いします。