新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

ミッション・インポシブル、映画じゃないよ

1月6日号はLeadersのすぐ後の特別記事(去年まではSpecial Reportと言うタイトルだったのが、新たにBriefingというタイトルに変更)で、国連の大変さについて報告しています。

Leadersのトップ記事と連動した詳報であると思って読んでますが、疑問符が付いているとはいえ、確かに難しい使命であることは記事を読めばすぐ判ります。曰く、安保理事会常任理事国に権限が集まりすぎて民主的ではない、曰く、民主的だった国際連盟は1933年に日本とドイツ、1937年にイタリアの脱退を許し、結局役目を果たせなかった、曰く、アメリカなしではやってゆけないのにアメリカは御しがたい、曰く、途上国は一致団結して(G77と呼ばれるグループを形成)あらゆる問題を「南対北」という色眼鏡で見る傾向がある、曰く憲章にも書かれていないPKOへの関与が飛躍的に増加した、曰く、PKO事務局に勤務経験のあるアナン前事務総長と違い、蕃基文事務局長は実際にPKOの現場を知らない等々。これら制約条件の全てでなければ過半数を満たして仕事を遂行することは、誰に聞いても難しいという返事が返ってきそうな気がします。

しかしそれでもなおかつ、現在の国際社会において多国間の問題を解決するための機関としては国連が最も広範囲かつ正当性ある対応を取ることが出来るのではないかと思います。

ダグ・ハマーショルド第三代事務総長のコトバだそうですが、「国連は人間を天国へと導くために生まれたのではなく、人間を地獄から救うために生まれたのだ。」残念ながら、国連創立から60年以上たつ今も、状況に進歩は見られないような気がします。

ちなみに、日本の国際連盟脱退がドイツと同じ年だったことや、その三年後にイタリアが脱退していたことを初めて知りました。このあたり、現代の歴史教育はどんな風に教えているんでしょうか、興味があります。

1月6日号は他に中国海軍の軍拡やブルガリア・ルーマニアのEU加盟なんかが面白そうです。