新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

アジアの製造業

1月13日号はBriefingでアジアの製造業、特に中国沿岸部の成長と市場成熟による投資の鈍化と他地域への注目度上昇について報告しています。曰く、ベトナムをはじめとする周辺諸国への「チャイナ・プラス・ワン」と言われる地域リスクのヘッジ策の流行、インドの台頭といった傾向を、実例を引きながら説明しています。日本の企業としてはユニクロのカンボジア・ベトナム進出が参照されています。

東南アジア各国に対する分析もまずまず妥当なところで、マレーシアの電子産業、タイの自動車など特徴的な分野別の強みについてはある程度目配りができているようです。

ただ、やはり弱いなと思うのは外国投資の流れについての分析で、どうしても欧米中心の見方である点が否めません。具体例に加えてチャイナ・プラス・ワンという方向性が参照された日本はまだ良いとして、大きなプレーヤーで視点が抜け落ちていると思われるのは韓国の、更に言うとLGやサムスンなどの電子産業の動きです。その意味では、アジアの自動車産業はまだまだ日本のデザインどおりに市場が動いているところがありますが、電子産業は(携帯電話や薄型テレビなど)製品によってはもはやそうではない状態にあるわけで、韓国・台湾そして発言力を強めつつある中国企業などの動きを参照すると、複合的かつ立体的な視点が生まれたのではないかと思います。

このあたりは、私がアジアで仕事していることによるアドバンテージと言えるかもしれません。グローバル基準で言えばこの報告だって立派に「今の姿」を伝えているわけで。

まあ世界のThe Economist相手に多少突っ張ってみたところで、別に何の足しにもならないのですが、世銀の記事が難しかったので(日本語で書かれていたとしても難解な内容だった)悔し紛れの遠吠えです。

あと、Science and technologyのページでは歴史や国の違いを超えて、男が女を見るとき重視した共通の視点は「ウェストの細さ」だったこと、銀河の組成で重要な役割をはたす「ダーク・マター」の存在が確認されたこと、買物をするときに「感情」が「理性」を抑えて果たす役割に関する脳神経学的な考察などが紹介されていますが、やっぱりウェストの記事が面白かったかな。

最後にObituaryはエルサレム市長を28年務めたテディ・コレックでした。合掌。