新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

本当のワールド・エコノミック・フォーラムとは

1月27日号はLeadersで地球温暖化対策に関するアメリカの重層な取り組み、ジャーナリスト暗殺事件をめぐるトルコとアルメニアの関係、中国の衛星撃墜、ワールド・エコノミック・フォーラム(以降WEFとします。いわゆるダボス会議です)とWTOの関係、そしてイギリスの同性愛夫婦に対する養子斡旋に反対するキリスト教会と、これをどのように調整するのかという政治の動きについて報告しています。

WEFが同時期にジュネーブで開かれているWTOドーハラウンドの再開と時期を一にしていることについて、WEFにおけるビジネスと政治の邂逅が引き続き農業問題を解決するためのWTO交渉にどのような影響を与えるか?韓国のコメ、テキサスの綿花など、自由化絶対反対の農業問題を抱えた政治家たちの動きにかかっている、と解説しています。考えてみれば当然の話で、ダボスとジュネーブは300キロも離れていないわけですから、両会議で交わされるであろう貿易をめぐる議論は時間的にも空間的にも大変近いものになる、ということです。

翻って今朝の日経に目を落とすと、景気拡大を楽観視する意見が目だったダボス会議の閉幕こそ伝えられているものの、その中でも触れられているWTOドーハラウンドとの関係や、そこで日本は何を言うのか、については全く冷めた調子のコメントしか見当たりませんでした。貿易を通じてどうしたらより良い世界を作って行けるのか。イラク問題をはじめとする明らかな失敗を何度犯しても、自由貿易の振興を通じた世界の発展に寄与するんだというThe Economistの視点が、なるほどブレていないと思わせるに十分な彼我の落差、です。