新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

囲碁で人間がコンピュータに負ける日

1月27日号は経済のBriefingで製薬業界の巨人・ファイザーに関する特集、Finance and economicsでユーロ圏の経済牽引役が再びドイツの手に回ったこととスペイン・ポルトガルとの優位性の変化について、またロシアの銀行業が西欧のそれとは信用面においてかけ離れた実態であること、中国が増え続ける外貨準備を海外投資に向ける意思を表示したこと、およびEconomic Focusではインドと中国を全要素生産性(私の理解は「生産に関わるすべてのコストから人件費と固定投資を除いたもの」、というようなものです)で比較すると、どうも中国のほうが成長力がありそうだ(インドの潜在的成長力のほうが大きいとも読める)というような記事が目立ちますが、どれも「へえ」というほどの内容ではありませんで、先ずは穏当かつ信頼性の高そうな情報を提供してくれているように見えます。

Science and technologyのページで目を引いたのが、コンピュータが人間にゲームで勝つ、という話のその後についてです。1997年にチェスの世界チャンピオンがコンピュータに負けて以来、オセロ、バックギャモン、その他で人間はコンピュータに勝てない状態が続いているようですが、囲碁だけはゲームの複雑性やあいまい性により人間がコンピュータを寄せ付けなかったのに、モンテカルロシミュレーションを使ったプログラムが小さな囲碁(詰め碁のこと?)では人間に勝ちだしている、という記事でした。まだ19本の格子でできたフルサイズの囲碁で人間に勝つまでには至っていないようですが、そのうち囲碁も、ということになるのでしょうね。ま、ただコンピュータにモンテカルロシミュレーションを使うように仕込んだのは人間なわけですから、突き詰めれば人間(囲碁打ち)対人間(SE)の対決、と読めなくもないのですが。

あとは、来週号に期待、かな。