新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

映画とアフリカ

The Economist2月3日号は前半の地域別記事のThe Americasのページで、南米の石油生産についての報告、メキシコでトルティーヤの原料となっているとうもろこしが、バイオエタノールの生産による市況高騰で、それまでの黄色いコーンから白いメイズに変わってきている(ちょうど日本のメディアでも取り上げられたようですが)という報告、カナダで市民権管理の不行き届きからパスポートがもらえない人が出たなど、耳寄りな記事がならんでいました。またMiddle East and Africaでは中東地域におけるシーア派とスンニ派の対立に関する解説(双方の中核はイランとサウジアラビア、現象面では相互の攻撃や非難等、対立が深刻化)、これまで比較的過激派が弱かったヨルダン川西岸地区がガザ地区のように過激派の勢力が強まりつつあること、アフリカではビクトリア湖の水資源が貴重になっていること(不足することを予感させる内容)、ナイジェリアで実施されている比較的柔軟なイスラム法(シャリア法)などの記事が出ています。私自身かつて4年をアフリカで過ごしたから、でもないと思いますが、半分仕事柄もあって毎週Middle East and Africaのページはよく読むほうです。

囲み記事としてAfrica on filmというコラムがあり、これまでアフリカを舞台に作られた数々の映画について触れた後、結局これらは「映画Out of Africaがそうであったように白人の経験から描かれた」アフリカなのだ、ハリウッドの視点は依然として変わっていないのだ、という結論を下しています。お金を出しているのが欧米社会である以上、なかなかそれを超えた作品を求めるのは難しいでしょうね。同時に歴史面において、短くない植民地時代の期間、白人が主な意思決定を行う立場を占めていたことも少なからず影響していると思います。Constant Gardener(邦題「ナイロビの蜂」)、見ました。郷愁を描いたOut of Africaとはまた違った意味で白人の映画です。Out of Africaの路線で最近受けたのはNowhere in Africa(邦題「名もなきアフリカの地で」)だと思います。

またThe Economistは名前を挙げていませんでしたが、「ダーウィンの悪魔」という映画が環境保護の面で話題になっていますね。これも、現地(タンザニア)からの報告によると「誇張があり、必ずしも事実を伝えていない」ということですが、最低限、アフリカの人が見て、正しいかそうでないか意見を言うというあたりから、現地の関与が深まってゆけば良いのではないかと思います。インドがそうなったように、やがてアフリカがアフリカの手で世界に認められる映画を作り出す日もやってくるでしょうし。