新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

インドの明日

2月3日号はBriefingで高度成長を続けるもう一つのアジアの雄、インドの今後に関する見通しを述べています。

曰く、教育とインフラに関する投資が低いままでは高度成長の維持は疑問。また、ジニ係数で貧富の差が中国やアメリカより小さい状況にあるが、貧困層が多い。これらの情報が物語ることは、規模も大きく成長率も大きなインドがそのまま世界経済の牽引車となるためには障害もまた大きい、ということでしょう。貧しいインフラ・貧しい人材のままでは高度成長を賄いきれない、という「持続性に関する疑問」が呈されています。

中国がインフラ投資に使う金額は、実額にしてインドのそれの約7倍だとか。なるほどチベットに鉄道は通じ、沿岸部の都市は東京より近代的な高層ビルが立ち並ぶわけです。

しかし、しかし。インドが中国並みあるいはそれ以上のインフラ投資を推し進めたらどうなるか。やがては訪れる中国経済の足踏みと同様に、投資家の期待を大きく裏切る結果につながると同時に、逆の意味で持続性に疑問がでてくるのではないかとも思えるのです。

おそらくThe Economistは言うでしょう。景気循環や不況が訪れたとしても、長期的には自由貿易こそが富の増大に貢献するのだと。マクロの議論はその通りとして、忘れてはいけないことはインドが巨大な民主国家であり、連邦国家だということです。各州には議会と政府があり、首相がいて、ある程度中央政府から独立した権限を持っています。貧しい州もあれば富める州もある。インドを一括りにして議論することの危うさが、ここにもまた透けて見えるような気がします。