新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

インドのインフレ

2月17日号は、Leadersに北朝鮮問題のほか、電子マネー時代への展望、ロシアと世界との軋轢、米大統領選予備選、ヨーロッパにおけるアメリカ式訴訟の波紋、パレスチナ連立政権に関する記事が並び、Lettersではバングラデシュ大統領選挙への臨時内閣はクーデタではない、というバングラデシュ高等弁務官代理の投稿など、目を引くコメントが載っています。私の勤めている国際機関の空席募集広告があったのはご愛嬌。

これらに続くBriefingでは北朝鮮を巡る六カ国協議の全貌についてかなり詳し目に報告しています。最近、CNNを見ていると辛口で鳴るアメリカのジョン・ボルトン元国連大使が本件をはじめとする国際問題のコメンテータをしているのを良く見ますが、この記事でも「核兵器を持った北朝鮮に融和的な態度をとったアメリカは間違っている。なぜなら世界の核志向国に核武装による融和という間違ったメッセージを送るからだ。」という意見についてブッシュ大統領が即「それはちがう」と反論した、などというくだりが紹介されています。しかし大半の識者はボルトン氏の論理を正しいと思うだろう、というあたり、いかにもThe Economistなのですが。

今回の六カ国協議の結果を融和的と見るか、あるいは中東への注力を確定させるための戦略的対応と見るか、は意見の分かれるところだろうと思います。
中国、そしてロシアの当事者としての態度が注目されるところですが、同様に日本も当事者として拉致問題を含む問題解決への具体的提案が求められているのではないかと思います。

先週とうって変わって、地域情報のトップにAsiaが来ています。編集方針がかなり柔軟になってきた、ということなのかな。
マレーシア国境近くのタイ人とイスラム教徒との小競り合い、カシミール地方でのインド軍による人権問題、台湾総統選挙への展望、アフガニスタンの被差別民問題、インドのインフレについての記事が並びます。囲み記事でニューデリーの猿害対策(餌付けされた猿が町を荒らす)についての記事はちょっと面白かった、というと不謹慎でしょうか。

インドのインフレは、高度成長化の人件費高騰と資産バブルを伴って、多少心配されるところかと思います。インドは自由を認める民主国家であることから、大規模な経済変動に対応する中央政府の専制的コントロールが利きにくい状況にあるとするなら、ある意味で巷間言われる「北京オリンピック後の中国」以上に世界経済への影響要因となる懸念があるのではないかと思われます。引き続き注目してゆきたいと思います。