新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

エンピツの話?

3月3日号のFace valueは、ドイツを代表する鉛筆メーカー、ファーバー・カステル社の社長、アントン・ウォルフガング・フォン・ファーバー・カステル伯爵(ドイツに爵位なんか、あったんでしたっけ?)について、です。

この伯爵ですが、2005年に一度、144本(12ダース、ということですね)の鉛筆をいっぺんに30メートルの高さにある自分のオフィスの窓からアスファルト舗装の道路に投げてみたところ、一本も折れなかったのがご自慢のようで、この記事もまずその話がマクラになっています。

もとは法律を勉強し、アメリカ系の証券会社で仕事をしていたところ、父である先代の社長に請われて鉛筆屋を継ぐことになったのだそうですが、現在ご子息は会社を継ぐ立場になく(民間投資会社勤務)、後継者はトロイカ体制で会社を司る40台の候補3名に絞られているのだとか。

株式は公開されておらず、高齢者の楽しみである絵描き用鉛筆に堅実な成長市場を見出す同社は、ある意味典型的なヨーロッパの老舗中小企業、ということが出来ると思います。そしてそれは日本でよく見られる企業行動とも非常に近いものがあると思うのです。

銀座・伊東屋でプロが使う色鉛筆のコーナーに行くと、100色を超える大型の色鉛筆セットが売っていますが、やはりファーバー・カステルは目立っています。微妙な色の調整具合、鉛筆一本一本の仕上げにしても丁寧ですし。

春が近い季節になってきました。たまには色鉛筆持ってスケッチにでも行きましょうかね(高齢者、になるまではまだ随分と間がありますが)。