新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

流転する常識について

3月3日号はBriefingのページで基礎研究から応用的開発へと軸足を移す企業のR&Dについて、またFinance and Economicsのページでかつてはその身を潜めるようにしていたプライベート・エクイティ等のマネージャーが、社会的貢献など非財務的なリターンを求めて積極的に公衆の前に出てくるようになったこと、IMFと世銀の間のズレがめだつようになってきたので、政策対話を進めるようにという勧告が出されたことなどを報告しています。

何でこの3つに触れたか、というと、そのどれも根源的な変化ではなく、日常の動きの中でややもすると見逃されがちなお話だと思うのですが、これらの小さな変化を追うことでしか、世間の枠組みや常識の段階的変化はフォローできないのだろうと思っているから、なのですが。

特に、プライベートエクイティに関する記事は一寸印象的でした。なぜならたとえプライベートエクイティ(誤解を恐れずに言えば、金持ちの個人資産等を想像いただければ良いと思います)と言えども社会を構成する価値の一つには違いないわけで、それが経済のサイクルでどこにどのような影響を及ぼしているのか、開示される情報が多いほどモラルの向上と社会の健全化が進められるのではないかと思うから、なのですが(見えないところに巨額のカネが溜まり、一握りの人だけが儲ける社会、にモラルなど期待できるはずもありません)。

無論、これまでと同様の動きをする会社もなくなるわけではないのでしょうけれど。でも「たとえば」の話ですが、途上国にありがちなモラルハザードを、先進国は認めない、というくらいの矜持を示すことにもつながる動きではないかと、密かに歓迎しています。ちょっとナイーブな考えかもしれませんけど。