新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

ガスに気をつけろ

4月14日号はBriefingで、天然ガス供給を巡るロシア対EUという構図を描きながら、ロシアに対する警戒感をこめた論評を載せています。そもそも、パイプラインによる天然ガス供給というビジネスモデルは需要家と供給者の間に長期的な信頼関係がなければ成り立たず(長期契約が前提)、価格変動についても市場に依存した短期的変動よりは二国間関係に基づいた個別価格によるという点で特殊なものだと言えます。理想的には平和的な関係にある二国間で純粋にエネルギー供給事業として運営されれば問題はないのでしょうが、The Economistが警戒するのは政治とからめて、あるいは経済の分野でも、覇権回復を狙うロシアの交渉力を強めることになるのではないか、という点です。契約がどうあろうと、外部的な理由でガスを止めるのは供給者の自由なわけですから。。。

原油や、他の商品と違い、パイプラインで供給される天然ガスは入手できないからといっておいそれと他国から買うと言うわけには行かない性格のものです。LNGでは価格がべらぼうに高くなりますし、そもそも受け入れ施設の建設からして簡単ではありません。

サハリン開発やシベリア開発を巡り、日本にもパイプラインによる安価な天然ガス供給を、という商談があります。ここ20年くらい浮かんだり消えたりしている話だと思いますが、EUの現状を見ると、エネルギー安全保障の観点から「持たなくて正解だった」ということになるのかも知れませんね。