新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

上司に恵まれなかったら。。。

4月21日号のLeadersを読んでいて、一番「問題だ」と思うのは世銀のポール・ウォルフォビッツ総裁が世銀職員である恋人を必要以上に厚遇した、というスキャンダルおよびそれが引き起こした波紋についての記事です。同じ問題は、4月14日号(United Statesのページだったかな)にも載っておりまして、今回は続報・詳報ということになります。この記事に関心が向くのはなにも私が国際機関に奉職しているから、ということだけではないと思います。

サラリーマンをやった8年あまりの間、人生の師と呼べる上司に一人、反面教師と呼べる上司にも一人巡り会いました。国連に移ってから15年ほど経ちますが、同様に尊敬できる上司二人、できれば一緒に仕事したくない上司二人にも恵まれ(?)まして、だいたい8年サイクル内外で浮き沈みを経験しているような気がします。だからThe Economistの記事がどうのというわけではありませんが、世銀だろうとごく普通の企業だろうと、ある意味でありがちな問題の一つと捉えることが出来るような気がします、そういう目で見ると。

世銀や国際機関に神聖にして犯されざるべき特異性を見出してしまうと、この記事の語るところや対応に関する議論が勧善懲悪、即刻辞任という結論になってしまいがちですが、そもそもなんでそういう人間がトップになったりするのか(前社長の息子、天下り、その他いろいろあると思いますが)、そういう人間がトップに来たときに組織はどう対応できるのか(国際機関は制度的にこの辺が比較的しっかりしてまして、内部告発や監査等のシステムは日本の組織に比べてしっかり機能するようにできています。それでもなおかつこの手のトラブルは絶えません)、といった議論をきちんと(→日本的価値観の一つですが)行っておくことは重要だろうと思います。派遣会社に電話する前に、ですね。

あと、United Statesのページではやはりバージニア工科大学の銃乱射事件に関する詳報が目を引きます。The Economistのことですから、当然アメリカにおける永年の政策課題であるところの銃禁止(とそれが影響する大統領選挙)に目が向いた記事になるわけですね。日本では報じられない皮肉な話が載っていたのは、「銃禁止反対を訴える共和党知事に、より積極的な銃管理の緩和を訴えて勝利した民主党知事のいる州、それがバージニアである。」というくだりです。それだけ深刻な問題、ということですね。