新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

なんか違うよ

4月21日号はInternationalのページで、Leadersでも取り上げた世銀のポール・ウォルフォビッツ総裁の醜聞について詳報するとともに、途上国、なかんずく最貧国にとっての世銀とその役割について述べています。

ウォルフォビッツ総裁自身が導入を積極的に進めた融資のための評価基準によると、世銀にとって受益国のガバナンスは重要な評価指標だそうで、六点満点の評価で情実人事が横行する国は2点(世銀総裁自身にふりかかった疑惑です)、権威の喪失は同じく3点だそうです(現状の世銀、かな?)。

The Economistが指摘しているとおり、この状態では世銀はかなり危機的状態にあると言っても良いでしょう。なぜなら日本でもそうであるように、自分の出来ないことを人に求める人間、もしくは常日頃人に言っていることが実行できない人間はどの世の中でも軽蔑の対象にこそなれ尊敬されようはずがないからです。そう言った人間でも内面の美点によりヒーローやカリスマになれたりするのは文学作品やアニメ・映画などだけの話です。

で、The Economistは世銀の最貧国への関与を分析するために世銀本体ではなく国際開発協会(IDA:第二世銀と呼ばれる。経営は一般の預金を取らないため、ノンバンク的な存在)とその事業を参照しています。おっと、ウォルフォビッツは世銀全体の総裁だったはず。いくらODAの社会的な意義や目標が貧困対策にあるからって、総裁の責任に関して組織を議論するときはやはり全体観を以ってすべきなのではないかと思います。