新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

学校へ行こう!

4月28日号のUnited Statesは、丸二ページを費やしてアメリカが抱える公教育の問題を詳報しています。すなわち白人家庭と黒人家庭の間に横たわる埋めがたい収入格差が、法律や制度などさまざまな形で公教育における人種の垣根を取り払おうとする努力を実り少ないものとしていること、バウチャー制など、選択の自由を与えつつ学校間の競争を喚起しようとする施策も試みられているものの、大局的には公的な支出増につながる話でしかないことなどが細かく報じられています。53年前に人種間の垣根を取り払うよう教育委員会に働きかけて、ついには法廷闘争となった「ブラウン氏対教育委員会事件」を経験してもこの国の公教育は依然としてお互いに交じり合わない白人と黒人を相手にしている、という状況だそうです。

ここで興味があるのは、The Economistが一見極めてニュートラルな、あるいは建前的には人種格差の是正に賛成するとも取れるスタンスを取っていることで、それが同誌の旗印である「自由貿易の振興」とどのように関係するのかな、ということです。単に保守主義的な考え方であればむしろ人種交流に慎重だったりすることもあるのでしょうが、読む限りにおいてThe Economistはそうではなさそうですし。

人種に関わらず、優秀な人材が世に出ることにより技術革新が進み、ひいては自由貿易体制もより繁栄する、というふうに取るのが正しい読み方ではないかと思います。

いずれにせよ丸二ページの記事が物語るものは、公的なサービスに大きな関心を払うアメリカと、それを詳報する価値のあるニュースだ、と整理するThe Economist編集部の意識の合致、でしょうかね。教育問題の根深さは日本もそう変わらないように思いますが、日本がここまで問題扱いされることもまた、なさそうです。端的に言って公教育は難しい。そんな環境で頑張っている日本の学校や先生は、実は立派なものだったりするのではないかと思うのです。現実の教育を見てみませんか?そうだ、学校へ行こう!でも今日び、どの学校でも校門は常時閉っており、どうかすると警備員がいたりしますけどね。