新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

イギリスと爆弾

5月5日号は巻頭に続く特集記事で「MI5とアルカイダ」と題して爆弾テロの脅威と戦うイギリスの現状を詳報しています。私自身、イギリスの出来事を期待して読むことが少ないため時として忘れがちになりますが、The Economistはイギリスの週刊誌です(通常イギリスについての記事は10%もありません)。

それによると、かつてIRAの爆弾テロに苦しんだイギリス政府は国内諜報部MI5と警察の連携協力でアフガニスタンやイラクに起因する爆弾テロを防止するための施策を講じていたそうですが、2005年7月に起きた地下鉄爆破事件は予想していなかった自爆テロによるものであったため防ぎきれなかったとのこと。確かにIRAは自爆テロまではやりませんでしたからね。さらに脅威となっているのは増え続けるアルカイダシンパの数で、特にイギリスはパキスタン系の移民が多く、実数の把握は容易でないものの警察にマークされている要注意人物の数が2001年は250人だったのがなんと1600人にも増えているそうです。さらに国内の潜在的シンパは10万人にも上るだろうと推定されているのだとか。

毎年多くのパキスタン系イギリス人が里帰りする中、アルカイダと接点を持つ人が生まれても全く不思議はない土壌です。さらにやっかいなのは、容疑者逮捕に続く司法プロセスが過密スケジュールにより遅れがちで(現在テロ容疑で裁判を待っている人が100人以上に上る)、目に見える成果として報道されるまで時間がかかることから国民の理解が得られにくい状態が続いているようです。加えて2006年に発生した誤認による射殺などが、警察による警戒やMI5による諜報活動に対する国民感情を否定的なものに向けている要素もすくなくないとか。

出張先のキューバはThe Economistが入手できない数少ない国の一つです。そのため5月12月号以降しばらくの間、新刊の紹介ができません。引き続き、ゆっくりと5月5日号を見てみたいと思います。月末に帰国するので、6月からは通常どおりの報告が出来ると思います。