新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

地球温暖化が真剣に取り組まれるようになりました

6月2日号は都合26ページにもわたる特集記事で地球温暖化問題について詳報しています。振り返れば国連気候変動枠組み条約に基づく第三回締結国会合(COP3)を京都で開催し、加盟国間の地球温暖化ガス排出削減と、それを取引する市場メカニズムに関する大枠が決められてから早や今年で10年になります。その間、アメリカの離脱、ロシアの批准による議定書発効と紆余曲折を経た地球温暖化対策ですが、ハリケーン・カトリーナによる大被害あたりからだんだん風向きが変わってきて、アル・ゴアによる「不都合な真実」が世論形成に大きく寄与したこともあり、いまやThe Economistが"Everybody's green now"と題したコラムを書くまでになっています。京都議定書に否定的だったブッシュ政権の退陣が近いことも当然影響しているでしょう。

連邦政府の対応とは別個に、シュワ知事のカリフォルニア州をはじめとする米国各州の対応にはかなり先進的なものも含まれており、アメリカがすなわち排出規制に否定的だ、というわけではありませんでした。しかしながら今回の特集が触れているように、量的にアメリカが最大の排出国である事実は変わらず、二酸化炭素やメタンガス、さらに二酸化炭素の一万倍以上の温暖化効果をもたらすHFC-23という特定フロンガスの削減など、喫緊の課題は目白押しです。

特集記事で面白かったのは、温暖化対策と言ってもその方法に寄って効果・効率にはさまざまな違いがある、ということでした。たとえば工場などの保温プロセスを改善して省エネを進めることは費用対効果が抜群に良く(削減した二酸化炭素を売れば黒字になる)、続いて燃費効率の良い商業自動車(プリウスをタクシーに?)、省エネタイプの照明機器採用と続き、風力発電や太陽光発電は費用対効果だけから言えば赤字、二酸化炭素の捕獲と埋め戻しに至っては純然とコストになる、という分析が出ていまして、たとえばバイオ燃料でもサトウキビから作るエタノールは黒字、セルロースを分解して作るものは赤字だそうです。

省エネ技術は日本の得意とするところ。すぐそばに中国やインドなど、期待できる市場も大きいため、この流れが続くようだとビジネスチャンスも本物になってくる可能性が大きいように思います。