新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

二酸化炭素は勝手に出てゆく?他

6月2日号のScience and technologyは結構面白い話が詰まっていて、その一つ目が、地球温暖化の原因とされているCO2(二酸化炭素)がイオン化されると北極と南極上空の磁性域から外宇宙へと勝手に飛び出て行く、という学説です。これに従うと(提唱者も可能性を是認している話のようですが)、CO2を集めて極地上空でイオン化してやれば、地球温暖化問題を起こすCO2を外宇宙に放出することができる、と言うものです。以前にも、地下深く埋め戻すと言う案があって、油田開発等では実際に行われているようですが、仮にこれが技術的に可能だったとしても、やはりポイントになるのは採算性でしょう。でも面白い視点の話だなあと思いました。

別の記事によると、音韻を重視する言語を話す人はそうでない言語を話す人より脳の特定部位(左のヘスクル脳回、というところらしい)が大きいのだそうです。これには個人的にも思い当たることがあり、マグレブ(北アフリカ)の国から来たばかりの人が話せないはずなのにとても上手に日本語(たとえば駅のアナウンス)を聞き取ることや、ヨーロッパの人が話せないはずの外国語の単語(例えば中国人の名前)を聞き分けたりするシーンに出会ったことがあり、私たちとは「耳の力」が絶対的に違うなあ、と思っていたのですが、今回の記事を読んで、なるほどと思ったわけです。

さらに、カンブリア紀に生物が爆発的に多様化した(カンブリアン・エクスプロージョンという)のは、貝の殻のような固いものを作れるようになったことに起因するらしい(自らの体を守れるようになった)、という記事も面白かったです。現在放送中のテレビ番組に「カンブリア宮殿」というのがあり、よく見てるのですが、それによると日本経済にもカンブリアン・エクスプロージョンが必要だとのこと。だとすると「貝の殻」を作れるノウハウがあれば、一気に経済が多様化する、のかな?

最後にObituaryは生命の起源を探った(そして実験を成功させた)スタンレー・ミラーの逝去を伝えています。一寸科学に頭が向いた週末になりました。