新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

イノベーションのもたらすもの

6月9日号のLeaders、最初の記事は「アップルから学ぶもの」という題で、一度は経営が危なくなったアップル(旧アップルコンピューター、と書かないほうが判りやすいかもしれませんね)とイノベーションの関係について書いています。スティーブ・ジョブスの強烈な個性が導き出した考え方は「自分の技術でなくても、良いイノベーションは積極的に取り込もう」というものだそうです。但し、必ずアップル流の一ひねり、が効かせてあるそうですが。

記事を読んでいて、これはある意味コンピュータ創生期以来の同社のDNAなのかもしれない、と思ってしまうのは、23年ほど前にマッキントッシュのさきがけとなったアップル・リサというコンピュータを使って仕事をした経験に基づきます。その後まもなくゼロックスのJスターという機械を使う機会があって、ほとんど同一ともいえるユーザーインターフェース(リサのほうがちょっぴり使いやすかった)について、実はゼロックスのほうが本家本元で、アップルは技術者を引き抜いて追随したにすぎない、という話を聞いたことを瞬時に思い出したから、なのですが。

なんというか、ジョブスのカリスマ性に関するほんの少しの疑義を匂わせただけで、The Economistは同社をべた褒めです。大手企業でここまで芸術的なイノベーションを強く打ち出せる会社はないだろう、というくくり方なのですから。

その他Leadersは、バスクを巡るスペイン内でのテロとアイルランド停戦の違い、インド経済の過熱、プライベート・エクイティへの課税を巡る攻防、リサイクルと経済(今週の特集、Technology quarterlyにつながります)についてなど。Briefingでは、日本も関与しているスリランカ和平問題について取り上げられています。