新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

ヨーロッパを結ぶもの

7月7日号を読み進めてゆくと、相変わらず流動的な世界の多極的な動きが良くわかります。大きなトラブルやイベントがなかった分、各地の特派員が「書きたかったこと」をここぞとばかりに出してきた、みたいな感じです。具体的には相次ぐ閣僚の失言に窮する安倍首相、部族選挙からの脱却を目指すパプアニューギニア、インドのシーク教差別、パキスタンの人質事件(ちなみにようやく政府軍がモスクに踏み込みましたけど)とその背景、金正日後の北朝鮮に関する予測、オリンピックを控えてバチカンとの関係改善を図る中国と国内カトリック、成功の実績に彩られた「最も大統領候補らしい大統領候補」米共和党のミット・ロムニー氏、民主党のオバマ候補が先行する大統領選挙資金集め、増えすぎて保護動物から外された白頭ワシ、胎児に関するダウン症の事前検査の是非、その他。。。

南米でキューバの話が出ていたので一寸目を引かれました。曰く、物価が高くて現地の人と交われず、料理が不味いキューバには旅行者のリピーターが生まれにくい、という話。確かにドルの交換手数料10%は実質為替レートを不条理に引き上げてますし、空港の免税店は最後の換金所の後にある店でもペソしか使えないとか、とても観光立国を目指す国の有様とは思えない現実に出くわしたことを思い出します。私の場合、仕事で行ったので観光客と同列の視点は持ち合わせませんでしたが、それでもこれらの改善余地については気付かされました。

その他、パレスチナ分裂の危機とファイード首相の手腕への期待、エジプトでとうとう公式に禁止された女子割礼(これも文化だ、という意見にはどうにも賛成しかねます。ではどこまでが、というと刺青くらいまででしょうか。命の危険があるかないかが分水嶺のような気がします)。シリアとの関係を巡り、またも緊張するレバノン内政、ズマ氏への禅譲がちらつく南アのムベキ大統領、東欧に経済の足腰を揺さぶられるEU、ウクライナを巡る国内東西対立の構図。

Businessのページで詳報されていた欧州各国の鉄道乗り入れについて。航空会社の後塵を拝すること10年、ようやく鉄道でも乗り入れ簡素化やユーザー志向の協力が本格化しようとしているようです。東京の地下鉄とJRのように、部分的に進んだまだら模様の協力ではなくもう少し包括的な(たとえば飛行機との共通チケット化)対応がなされるようです。そのうちスイカで飛行機にも乗れるように、なるのかもしれませんけど日本でも。