新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

Fait accompli、と言われる話

7月14日号のLeadersについて、昨日も軽くふれましたが、国際通貨基金IMFの専務理事選びを巡る構造問題に関わる記事がありましたのでそれについて。俗にブレトン・ウッズ機関といわれる世界銀行とIMFですが、設立この方世銀総裁はアメリカ人が取り、IMF専務理事はヨーロッパから出す、というのが慣例となって現在に至っています。先ごろ辞任を発表したIMFデラト専務理事の後がまに、フランス社会党財務大臣を務めたストラウス・カーン氏が推薦された、という人事に関するニュースがこの記事の伝えんとするところです。本件に焦点を当てて、いったいこの慣習的な重要ポストの独占はいかがなものか、という議論が組み合わされています。で、「たとえば中国は、」と第三の勢力として語られるのがほかならぬ中国なのは判るとして、「透明な人事」を目指してデラト現専務理事が協調を呼びかけたのが中国、メキシコ、トルコおよび韓国だそうです。それにもかかわらず慣習的にストラウス・カーン氏が選ばれたと言うことで、中国がベネルクス三国よりも軽く扱われる現状の改革はあと5年(専務理事の任期)は待たなければいけないことになる、との論評です。

Fait accompli(既成事実)、と言われる話のその末端にすら日本が出てこないのが、これら国際機関をめぐる現実です。私の居るところも何ら変わりません。いずれの機関に対しても、お金はたくさん出しているんですけどね。意見を言ったり人事を仕切ったり、という流れにはならない(しない)Fait accompliが日本側にもあるのかもしれません。問題ですよね、これって。