新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

集中すると

7月14日号のBusinessのページには短期的業績評価に影響されるアメリカの経営者たち、三角合併解禁により企業買収の増加が見込まれる日本経済、魅力ある新車投入で勢いを盛り返すイタリアのフィアット、自由経済志向が試されるサルコジ政権とフランス経済界につづき、「垂直型サーチエンジン」の急成長に関する記事が出ていました。「垂直型」とは、とある専門分野(たとえば経済や医学など)に特化したサーチエンジンで、専門家の愛顧度が高く、GlobalSpec.comなどが急激に成長しているとのことです。とはいえやはり一般人は使い慣れたGoogleなどで調べることが多いそうで、現段階では「実質的なセカンドオピニオンドクターはGoogleである」と言われるような状況だとか。しかしながら垂直型サーチエンジンもこれらのニーズに対応することによりマーケットを拡大してきているそうで、何でも揃うがほしいものが何百番目にリストされる一般型サーチエンジンに比べると、やはり目的のサイトに辿り着く時間距離が短い分、垂直型には集中による優位性があるように思います。

あと目を引いたのは3D映画のブームで、技術が進歩してより現実に近い映像が出せるようになったことに加え(これが大きな誘因だと思うのですが)、違法コピーが出来にくいこと、家庭では上映できないことなどが映画人の防衛本能に訴えたのではないかと思われます。

Face valueのページはフィランソロピーでも有名な英ヘッジ・ファンドのオーナー、クリストファー・ホーン氏について。

Briefingとして再び活況を呈しているドイツ経済に関する報告が載っています。その中で目を引いたのが雇用の流動化を示す「ツァイトアルバイター」、というコトバで、日本語に約すると日雇い労働者、ということになるのでしょうが、その中身は所謂ハケンです。特によいなと思ったのが派遣看護師の制度で、所謂「置屋」から、ニーズに合わせて看護師が各病院に派遣される制度なのですが、こうすると需要の集中するところをカバーするために、より柔軟な形で専門労働を効率的に提供できるのではないかと思われました。需要の多寡に関わらず、規制で看護師の人数を決めている某国では望むべくもない話かもしれませんが。

反面、自動車メーカーなどでは「正規で雇用すると、将来合理化が進んで解雇するのが大変だから」「社是として雇用の保証を謳っている以上、正規社員にしわ寄せはできないから」という理由でツァイトアルバイターを使っており、社員証をもらえない彼らは「社員食堂で割引が利かない」等、見えないところで割を食う存在でもあるようです。このへん、日本のハケン労働とも近いものがあるのかもしれません。