新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

断定

7月21日号特集のイランについてですが、さまざまな分析を加えた後、結局「たとえアメリカ文化に浸った若者であろうと、結局彼らはナショナリストであり、一朝事あれば指導者の下に結束する」と断定的に結論付けられています。何故そうなるのか、何が彼らをそうさせるのか、というあたりへの洞察はあるものの、そこから先の「グローバル平和戦略」的な議論に話が発展することはなく(The Economistの場合、常にそうですが)、良くも悪しくも現実的且つ対等な立場を崩さない「対決戦略」へと議論が進んでゆくのがパターンです。今回は分析どまりですが、読者には「であるからその先は対決的な関係が不可避」と想像させるに足る論証が重ねられています。でもそれでは世界平和につながらないので、ではどうしたら良いか、という流れでの議論は十分に可能な余地を残しながら。

アングロサクソンのロジックと、それを裏打ちする厳しい現実認識と。断定を勇気とたたえるにしても、暴論とこきおろすにしても、判断する側にも相当なエネルギーが要求される話です。仕事に疲れた頭には更に重たく感じられるのですが、最低限これらの議論をきちんと読み・聞き、考えられるスタンスだけは持ち続けたいと思っています。