新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

発展の仮面の裏には

7月28日号のAsiaを読んでいて思ったことは、アジア各国の発展の影をアングロサクソンは冷静に分析しているなあ、ということでした。中国の重慶へ流入する農村の若年労働者と、それを巡って発生する都市生活者と農村生活者の生活ギャップ。農村から移住しても、住民登録が「農民」のままだと、年金や社会保障等さまざまな便益が受けられない、にも拘らず故郷への無料宅配便を使えるから、という理由で多くは「農民」のまま時間を過ごす。かたや農村は働き手を失い、老人と子供だけのいびつな社会が形成されてゆく。とまあ、このくらいの分析は日本のメディアでも目にすることはあるのですが、東北三省などで炭鉱労働者等男性が若くして死亡した場合、家族は死後の花嫁を手当てして同じ墓に埋葬する、という伝統的因習が今でも生きていて、女性の死体を狙った墓の盗掘はおろか、盗掘より簡単だからという理由の殺人事件まで起っている、という報告には一寸驚きました。さすがに日本のメディアでは出ない話ではないかと。

パキスタンの大統領選挙を巡り、司法当局とムシャラフ政権の綱引き、それに絡む野党指導者の思惑についての報告などは、不安定な国で民主主義を志向することの難しさを浮き彫りにしています。反面インドで、名誉職に当たる大統領にガンジー家の血を引く女性が選出されたことなどは、一定の成熟度を示す話、という受け止められ方をしているようです。

アメリカ大統領選挙の前哨戦では、4回目となる民主党のディベートでまたもヒラリー・クリントン候補が円熟味を見せ付けて素人くさいバラック・オバマ候補に差をつけた、との報告が載っていました。