新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

タリバンによる韓国人ボランティアの拉致について

8月4日号のLeadersはアメリカの財政政策、スーダンダルフールを巡る国際社会の取り組み、日本の参院選、中国の軍拡、ナイジェリアの汚職と内政についての報告で、先週一時期メディアをにぎわしたタリバンによる韓国人ボランティア拉致事件に関する報告はありませんでした。Asiaのページにやっと、しかも最後から二つ目の記事として載っています。それより前に書かれていたのは中国の軍拡に関する詳報(briefing)と日本の参院選後の政局、40歳を迎えるASEANとカンボジアの戦争裁判について。それぞれがそれなりに興味深い、または深刻な問題ではあるのですが、一人、また一人と人質が殺害されてゆく拉致事件はマイナーな話題だろうか、と小さな疑問を感じたわけです(自由貿易の旗頭に大きな作用をもたらさないから、という理由で順位を下げられたのだとしたら、流石The Economistめ、と内心怒りを覚えるほどの納得感を感じるだろうと思います)。

それはさておき、日本のメディアと視点が違うなあと感じたのは、「医療ボランティア」との肩書きがついている人質は、Aide workerであると同時にMissionary groupすなわち宣教師として紹介されていること、でしょうか。キリスト教徒の多い韓国では、宣教師派遣数でアメリカについで世界第二位、現在も1万6千人もの人が海外で宣教師として働いているのだそうで。しかも昨今、宗派間で手柄を競う風潮があり、同胞がイラクで人質が取られた後も、政府の渡航自粛勧告にもめげず、さまざまな団体が世界各地の辺境へとスタッフを派遣しあっているのだそうです。ある意味で、生まれるべくして生まれた悲劇、なのかもしれません。

そうは言っても放っておくわけには行かない話です。最近の報道によると、タリバンは医薬品の供与を受け取った、とのことですが、一刻も早い解決と、できるだけ多くの人質が救出されることを祈らずにはいられません。