新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

底辺の10億人

8月4日号のBooks and artsに、一寸気になる本の話が出ていました。「底辺の10億人(The Bottom Billion)」というその本はオックスフォード大学経済学教授のポール・コリアーがアフリカのサブサハラ諸国を中心に暮らす「底辺」すなわち貧困層が、なぜ特定地域に集中しているのかを書いた本だそうです。書評によると、「四悪」すなわち戦争、天然資源の配分の失敗(ナイジェリアは産油国ですが国民は貧困)、港がなく周辺国との関係が悪い、加えて悪政が著者の指摘するところだそうで、スタンスとしてはODA拡大論の基調となる「貧困の終焉」を書いたジェフリー・サックスと、慎重論の旗頭たる「ホワイトマンズ・バーデン」を書いたウィリアム・イースタリーの中間に位置するもの、だそうです。

ODAの実務に携わるものとして言わせて頂ければ、世論の方向を定めることに寄与したこと以外、ジェフリー・サックスの議論には違和感を覚えていたのですが、それを見事に解き明かしてくれたのがイースタリーでした。その二つのどちらとも違う意見、というと是非読んでみたくなります。

ちなみに「四悪」は、そのすべてが原因という場合もあるのでしょうが、たとえば港のある国でもおかしな国はいっぱいありますので、議論の説得性としては「ま、そんなもんかな」という程度に思えてしまいますが。

その他、映画ではトム・クルーズが主演する反ナチスの英雄シェンク・フォン・スタウフェンバーグを描いた「ヴァルキリエ」という作品の話題が目を引きました。Obituaryは、やはり映画人でインゲマル・ベルグマン監督の逝去を伝えています。

明日から私も人並みに夏休み。というわけでブログは少しお休みです。8月20日再開の予定です。