新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

人口のキャップアンドトレード

まだ多少休みボケの頭で8月18日号を読んでいます。やはり米国サブプライムローンの格付け問題に端を発した市場の不安定化についての記事がLeadersのトップですが、夏休みということもあってか特集もなく、貯めておいたと思しき中南米の経済構造に関する楽観的な記事が目に付くくらいです。そんな中で、lettersでは日本の人口減少を切り口とした「人口が減少する社会」(7月28日号)への反論が多く、かのジェフリー・サックスも実名で「途上国の人口爆発を軽視すべきでない」との意見を投稿しています。面白かったのは、人口を維持するための水準である合計特殊出生率2.1をキャップとして、各夫婦に与え、それを市場で取引きできるようにしては、というThe Economist好みとも思える提案をしてきた読者がいることです。オーストラリアの大学の先生らしいのですが、子供を産みたい人は市場で権利を買う、産まない人は権利を売る、価格は市場原理に任せる、というこの方法は、二酸化炭素排出権の世界ですでに欧州では実施され、アメリカも真剣に導入の議論を進めている、というものです。いや、まさか人間様についてもそのような議論が出てこようとは思っていませんでしたが、市場経済の守護者たるThe Economistにあっては、まんざら異質な議論ではないということかと思います。