新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

貧困からの脱出

8月18日号はBriefingでLatin America's new lookと題して、経済的離陸を果たしつつある中南米諸国の経済状況について詳報しています。無論、国によって時間差・温度差があるため、必ずしも中南米の全ての国が恩恵を受けているというわけではないのですが、ブラジルなど主要国についてみれば、明らかに貧困層の比率が下がり、成長率が安定し、インフレ率は低く、与信と商取引の自由化が進んでいるという点では共通しているようです。

教育が普及して個人所得が伸び、いわゆる中産階級(客観的定義は難しいが、とThe Economistも言っていますが)が形成されるようになると、彼らの個人消費が経済を活性化させ、民生部門の社会的経費を減少させ、社会資本投資を呼び、国が豊かになる好循環を形成してゆく、という教科書的プロセスをあてはめて分析しているようですが、だったらなぜ今までそれができなかったのか、という素直な疑問が沸きます。少なくとも、ブラジルやアルゼンチンなど主要国においては、もう何世代もそのような成長軌道へと軸足を移すチャンスがあったはず。メキシコにしたってそうです。それを阻んだのは・・・どうやらマクロ経済の運営ミス、ということのようですね。すなわち成長し始めた途端に投機がインフレを呼び、政策的対応の遅れや稚拙さがたちまちにして経済を痛めつける、という。

現状の好調さも、ひとたび経済政策を間違えるとあっという間にもとの木阿弥、となる危険性をはらんでいると警告することを、The Economistもわすれているわけではないようです。

アメリカの公定歩合引き下げが市場に与えたインパクトは、一寸予想外でした。これで最も株を上げたのはバーナンキFRB議長、かもしれません。グリーンスパンの呪縛から、ようやく自由になれるかな?