新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

メタリック・マジックではなく

2月16日号の後半で目立った記事はと言えば、Face valueでアップの写真が載ったアルセロール・ミッタル社の社長、ラクシミ・ミッタル氏と同社の発展についての報告だと思います(ミタリック・マジック、という題でした)。インドネシアで始めた直接還元鉄を使った製鉄所が上手く行き、経営が傾いた供給業者の原料生産工程を引き受け、その後同じようにして中小製鉄業の経営再建を引き受けつつ大きくなった同社がフランスのアルセロールを買収して上手に経営統合を果たしたと言う実績は、企業文化の壁に阻まれて経済効果が出ないAOLタイムワーナーやダイムラークライスラーなど、同格の企業同士の合併とは一味も二味も違った深さを感じさせます。

ある意味、同社の一番の怖さは「合併を上手く仕上げる力」だとすら言えるかもしれません。新日鉄をはじめ、いまやスケールでは大きく同社に見劣りするようになった東アジアの高炉メーカーが買収を怖れるのも解る気がします。どんなに企業文化で異なった味わいを出そうとも、アルセロール・ミッタルからすれば全く想定内の話に過ぎず、いつの間にか大に呑み込まれ、同化させられてしまう恐怖、ということでしょうか。

その他、Briefingでは棚卸資産の価値などを担保にした「証券化」による資産の流動性向上がもたらしたリスク分散の行き過ぎについて、中印の過熱も心配される世界経済の先行きについてなど。中国の内需について書いているEconomics focusも面白そうです。