新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

保守、ピンチ!

3月1日号です。読み進めていて危機感を禁じえなかったのはアメリカの保守政治に関する二つの記事で、一つはUnited Statesの共和党マケイン大統領候補に関する勢力分析、今ひとつはLexingtonで、保守政治の論客、ウィリアム・バックリー氏の死去に関する記事でした。

私はマケイン氏について、アメリカの対アジア政策の中心が中国に移らんとしている現況において、民主党候補各氏に比べて日本が最も国益確保をしやすい大統領候補ではないか、すなわち経済より自由と民主主義というイデオロギーに重きを置いた関係が築けるのではないかと見ています。以前もこのブログで同氏への応援をしない日本(のメディア)に疑義を示したことがありましたが、彼の置かれている状況はあまり芳しいものではないようです。すなわち、内政面でブッシュ政権の評判は地に落ちており、健康保険から移民政策まで、あらゆる面で民主党が支持されていることに加え、外交面で彼の十八番であるタカ派的政策が展開されているイラク戦争が不人気な戦争である、ということに尽きるのだ、と。現在のマケイン候補はベトナム戦争を戦った英雄としてアイゼンハワー氏と同じように大統領になる可能性もあるが、同じくベトナム戦争の英雄であったボブ・ドール候補のようになるかもしれない、と危惧される状況にあるようです。

バックリー氏は享年82歳、レーガン政権からブッシュ政権に連なる保守政治にその影響を色濃く残したジャーナリストであったそうです。父親の財産を背景に29歳のときにNational Reviewという知的保守層向けの新聞(雑誌かな?誰か知ってたら教えてください)を創刊、歯に衣着せない論調がその特徴だったとのこと。また類稀な社交力を駆使してリベラル派の知識人との深い交流を築き、それを元にさまざまな論争を仕切っていたようです。
彼の後に影響力のある保守的知識人は続かず、今ほど保守層が彼を必要とするときはない、という結論は彼の存在価値を物語る評価だと思います。あえてObituaryではなくLexington(アメリカ政治の今を語るページ)に載せたあたりにThe Economistの価値観が伺えます。