新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

変化するアジア

3月15日号です。地域記事の前のBriefingはロンドンとパリ、というライバル都市の比較が載っていて興味深かったです。ロンドンに暮らすフランス人が20万人、パリに暮らすイギリス人が2万人。どうして?と思って地図を見ると、面積的にロンドンはパリの10倍くらいあるんですね。でも人口は7百万人強のロンドンがパリの4倍弱、借家の賃貸料はロンドンが2倍、強いサッカーチームがロンドンは2つ、パリはゼロ、三ツ星レストランがロンドンは1つ、パリは9軒などなど。。。パリも決して悪いムードではないと思うのですが、特に2012年のオリンピックを控え、また好調な経済にも後押しされて、ロンドンは今上り調子であることが伝わってくる記事でした。

で、アジアですが、マレーシアの総選挙と野党党首として政治の表舞台に復活したアンワル元副首相、それよりもっと大きなダイナミズムで展開される民主化プロセスについて。パキスタンも、総選挙の結果議会では野党が多数を占める結果となったことを受け、宿敵同士だったシャリフ元首相と、故ブット元首相の弟・ザルダリ氏の協調が伝えられています。個人的には過去に閨閥政治と汚職による腐敗を広めたこれら勢力より、軍政を批判されつつも綱紀粛正を通そうとしたムシャラフ大統領に頑張ってほしかったのですが、果たしてパキスタンがメカニズムとしての民主制をどこまで現実のものにできるのか、大変興味があるところです。日本については死刑制度に対するやや批判的な記事。殺人事件の頻度と比べると、死刑執行割合はアメリカと大差ない、との分析が載っていますが。その他、ベトナム・ソンミ村虐殺事件から40周年、枯葉剤の後遺症も含めてですが、アメリカとの経済連携を必要とするベトナムは、それらを許しても忘れてはいないこと。中国との連携を模索する台湾についての記事と、中国の支配に抵抗するチベットについての短信も(3月11日から13日時点の観察が伝えられていますが、記者はこれほど大事になると予測していたのでしょうか)。アメリカはドル安と輸出産業、決着の見えない民主党候補選びについて、などでした。