新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

夢は見果てず

3月29日号のEconomic Focusでは、プラザ合意以降の為替協調介入について歴史の概略を振り返るとともに、現在の為替市場に対する日米欧の取り組みについて述べています。The Economistは介入による為替操作については元来、やや原理主義的ではないかと思われるくらいの否定論者なのですが、さすがに歴史にたてつくことはせず、おおよそ(87年のルーブル合意以外は)長期的な為替の転換点としての役割を果たした、との識者の意見を採用しています。しかしながら、というか流石The Economistらしいなあと思うのは「だからといって協調介入がいつも有効とは限らない」「単独介入でも効果を示す事例もある」「金融政策とつながらなくても為替を強化できた例もある」等々、協調介入万能論には賛成しないとの姿勢が明白です。とはいえ、ドルの現状から早晩ユーロとの調整を目指した米欧協調介入を避けられないシナリオとは見ているようで。さらには現在、ドルを保有している国が先進国からたとえばサウジアラビアや中国などにも及んでいるため、これら(特に中国)の為替政策とも密接に関係してくるだろう、長年にわたって中国の為替操作を批判してきたG7が中国に為替操作を頼らなくてはならなくなることには当惑させられる、との結語です。

Science and technologyではパルスレーザー技術の進歩により、大規模加速装置がなくても同等の実験ができるようになるのではないかとの話、血糖値が低いと前向きな意思決定ができにくくなる、冬眠は新陳代謝を低く抑えるが、そのメカニズムには硫化水素(おなら、でしたっけ?)が影響していることなど。

Obituaryは、SF小説の大家、アーサー・C・クラーク氏の逝去を伝えています。享年90歳とのことですが、老いてますます盛んなる氏の見立てとして、2020年にはAIが人間の水準に到達するだろう、2050年には多くの人が人工冬眠で未来に自らの命を託するようになるだろう、など、夢は見果てず、という感じですね。