新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

消費者目線

4月12日号後半です。
Charlemagneは一時期の強さにかげりが見えるユーロの先行きについて、Britainでも景気の先行きに関する不透明感は増している(住宅市場を襲うバブルの終焉)とのことなので、ヨーロッパはちょっと悲観的。それにくらべてInternationalでは、経済の好調ぶりを移民ネットワークでアフリカへと広げるインドの動きが詳述されていて面白かったです。たしかに、貿易風でインド洋をアラビア商人が席巻した時代から、インドとアフリカは交易でつながりがあったのですが、特にイギリス植民地時代に数多くのインド人がアフリカへ移住しており、今でも東アフリカ諸国の経済にインド系の人々は深く関わっています。資源を求めてなりふり構わない進出を続ける中国に対して、インドのやり方は移民社会を通じた静かで確かなアプローチだそうで、それだけに確実性は高そうです。ちなみにほんの一行だけ、5月に横浜で開かれるアフリカ開発会議TICAD4(The EconomistはJapanese-African summitと呼んでいますが)のことが書いてありました。

BusinessではTCIの株式買い増し計画が問題になっているJパワーの話など。EU諸国も電力セクターについては外資の活動を制限しているためか、あまり批判的なトーンではありません。

で、面白いと思ったのがFace valueに出ていたキャラウェイ社のジョージ・フェローズ社長の話。独創的なゴルフ用品で新規市場を開拓する同社の社長はあまりゴルフをしない人、だそうです。素人によく売れるビッグ・バーサというヒット商品を開発した創業者が後継者を決めないまま亡くなったあと、同社はしばらく低迷を余儀なくされたのですが、ついに歯磨きのコルゲートにいたフェローズ氏が社長として招き入れられたのだそうで。で、彼が徹底して行ったのが「高尚なるゴルフを押し付けるのではなく、消費者のほしいゴルフを提供する」との戦略で、たとえば女性向けの良くボールがあがるクラブ、などという商品を開発して新しい市場を開く、という同社伝統のやり方をいっそう徹底させたのだそうです。結果同社の業績は上向きになり、必ずしもゴルフ狂でなくてもゴルフ用品メーカーの経営はできることを実証したのだとか。

これは言わば消費者目線の勝利、でしょうか。歯磨きのような最終消費者を常に意識した業界の強みをそのまま活かした、と整理できると思います。いや、大変参考になりました。