新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

完璧のぜい弱性

5月3日号の後半です。Finance and economicsで興味深い記事を見つけたのでそれについて。

ひとつは日銀についての記事で、In a pickle(困ってしまった)というタイトルが付いています。いわく、経済の大枠は相変わらず好況と呼ぶには程遠い状態なのに、一部にインフレの動きも見られ、エネルギーと食糧を除いたコアインフレ率が1998年から10年ぶりにプラスになった、という話です。インフレは困るのですが、でもだからと言ってインフレ抑止策を取るべき現状にないことはだれの目にも明らかなようで、こんなタイトルになった、ということでしょうか。

いま一つはButtonwoodで、The fragility of perfectionと題した記事なのですが、今や生活の隅々にまで浸透した経済のグローバル化も、かなりぜい弱なシステムに乗っかっていることへの警鐘でした。かつてケインズの時代に電信・電話が果たした役割をインターネットが果たし、いよいよ経済は複雑極まりない相互依存システムの塊と化しています。どこが切れたらどこが困るか、さえも普段はよくわからないような。。。

どこのだれをどれだけ信用するか、という判断にはたしかにわからない部分が残ります。アメリカで流通している債権として、サブプライムローン自体の信用は安定的なもの、と考えられていた時期もあったわけで。それと組み合わせて読むと、いささか懸念の生じうる記事として、中国の株式市場に政府の監視が強化された話(今までどうだったか、というと。。。)そして中国の経済統計は信頼性が今一つではないか、という話(これはEconomic focusですが)が載っています。実際には、中国の経済はいまだに開発途上国的な制度インフラを色濃く残していますので、現状はむしろ出来すぎ、と評価する向きがあってもおかしくないと思うのですが。。。

統計は、GDP算出などがあまりに速いこと(通常先進国でも年度末から4〜6週間かかるものを、わずか1〜2週間で出している)、しかもそのGDPの数字がその他のソースを経由した情報といま一つ合致しないこと、などの問題点をあげ、世界経済のけん引役として中国にはこれらデータの管理強化が必要だとの見解が示されています。