新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

しつこさの価値

5月10日号を読み進めています。

地域記事の前のBriefingでは、オバマ候補の躍進と比べる形でアメリカ黒人のおかれた立場の変化について詳報されています。ちょっと興味深かったのは女性の年収に関する統計で、ドロップアウトまたは高卒までだとせいぜい2万ドル(パートということかな?)で、白人のほうがちょっとだけ良いのにくらべ、大卒だとほぼ同等となり、院卒以上だと黒人の平均が8万ドル、白人のそれが6万ドルという統計が出ていました。The Economistの解説によると、「大学院教育を受けるような白人女性は年収の高い白人男性(もしくは普通の男性)と結婚する確率が高く、かならずしも年収に固執しないのではないか」との分析も。へえ、てなもんですけど。

リビアはさておき、記事を読むと過去40年間でアメリカの黒人が置かれた立場にそれまでの200年とは比べ物にならない変化があったことが見て取れます。人種をフィルターにして考える人は「ガラスの後ろに引っかかって置いて行かれている」状態のようです。

Asiaは興味深い記事が続きました。まずはミャンマーの地震について。まあ当然と言えば至極当然ですが、国際社会の援助を断る軍事政権に対して民衆の怒りは肥大しているとの報告です(日本にはこういった論評をするメディアはいるのでしょうか。あまりテレビを見ないのでネットと新聞くらいしかわかりませんが、目にした覚えがないので)。続いて北朝鮮の飢饉問題、そしてダライ・ラマと中国の交渉経緯について。聖火問題が下火になるにつれ、ダライ・ラマが日本のメディアに登場する機会も減っているように見えますが、さすがThe Economist、ちゃんと追っかけてくれてました。それによると今回の接触は一度不調に終わった交渉とは質の異なる予備的なもので、本格交渉の再開は次回以降の接触にゆだねられているとのこと。ただダライ・ラマ側の話として伝えられている部分を読むと、比較的前向きなムードも感じられますので、あるいは何らかの妥協や前進があるのかもしれません。この記事に代表されるThe Economistのしつこさに大きな価値を感じます。

United Statesは、オバマ大統領候補の選出が濃厚となった民主党予備選、成果を上げつつあるものの、既存の公立校との整合性を問われているチャーター・スクール(新設型研究開発校)についてなど。
http://www.kantei.go.jp/jp/kyouiku/2bunkakai/dai5/2-5siryou5-2.html

Lexingtonは、独立以来の自由がさまざまな規制に縛られつつあるアメリカの現状について。Middle East and Africaではジンバブエの大統領選挙をめぐる駆け引きについてなど。決選投票がどうなるか、見ものです。