新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

ゼリー扱いされても仕方ない?

9月6日号です。

Leadersのトップは、ロシアのグルジア侵攻をきっかけとして浮き彫りになった欧州の弱点、対ロ外交について。資源という急所を握られたヨーロッパがどうしても弱腰にならざるを得ない力関係と、永年の望みだった「欧州への仲間入り」をあきらめることとの天秤に悩んでいるはずのロシアについてということで、日本からはおよそ窺い知れない洞察にも満ちた記事です。ちなみにLeadersのあとのBriefingもヨーロッパの対ロ関係について。

その他Leadersの記事は不調と伝えられる英国経済、福田首相の辞任(本来サプライズのはずなのですが、書かれ方は全くモノトーンで、サプライズとはおよそ思えない内容です)、地球温暖化と技術について、タイの反政府活動について、地域ごとの自由貿易協定がもたらすメリットについて、となっています。

Briefingではロシアに対して強硬姿勢を取れない、かと言ってグルジア侵攻を見逃すわけにはゆかないヨーロッパと、ロシアに対して冷たい態度を隠さない中国(これはちょっと考えると対西側へのポーズではないかとも思えるのですが)、さらにはグルジアを見て明日は我が身と思うウクライナ、地域の勢力バランスが崩れると発言力を増すトルコなど、グルジア問題を取り巻く各国の思惑、NATOを通じて見え隠れするアメリカの存在、そして結局は慎重な対応を余儀なくされるEU、という多極的な勢力図が手に取るように描かれています。

表紙には、EU諸国に擬せられたゼリーが描かれています。もしくはチョコレートのような防火壁、という表現もあって、その頼りなさが象徴的に語られていますが、現状ゼリー扱いされても仕方ないのかもしれません。

http://www.economist.com/opinion/displaystory.cfm?story_id=12060201