新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

善良なる非居住者

9月20日号です。

Leadersは、相次ぐ大企業の破たんとそれに苦慮する財務当局、混乱する市場についてなど。「次は誰だ?」とは市場の素直な反応ではないかと思われましたが、さしあたり小康状態で週が変わりました。ただし、住専の問題から山一、拓銀の破たんに続き、ほぼすべての金融機関が影響を被った日本のバブル崩壊を想起するに、これですむはずはないとする見方も正しいように思えます。

次の企業倫理と多国籍企業の関係に関する記事で、さまざまな国で商売をする多国籍企業にとってとある国では問題ないが、他の国で問題とされるというような行動があってはならないため、全世界基準でこのような問題を回避しようとする、このため活動的な多国籍企業は高い倫理規範を持つようになるとの分析があります。逆パターンは多国籍企業でもとある国での権益を守るため当該国の政府と癒着するようになるケースだそうですが、なるほどな、と思わせる視点です。
http://www.economist.com/opinion/displaystory.cfm?story_id=12263150

で、パキスタン新政権との関係でアフガン対策に苦慮するアメリカ、呉越同舟の政権が誕生することになったジンバブエ、中傷合戦の色合いを呈してきた米大統領選についてなど。最後に売り渡し可能な漁獲枠の設定により生き残りを図る世界の漁業者について。二酸化炭素排出権の話を思い出しましたが、市場原理と規制を連動させる方法は、限られた資源を有効に配分したり、市場全体の対応を促進するためには有効な取組みなのかもしれないと思って読んでいました。

Lettersでは米共和党ペイリン副大統領候補の資格要件などに関する賛否、Briefingは行き場を失う英労働党について。Asiaではパキスタン新政権と同国北西部の複雑に絡まる民族問題、中国の粉ミルク汚染事件、月餅と贈答(贈賄?)文化、自民党総裁選、政権交代が近いとみられるマレーシア、ようやく政治の正常化が図られそうなバングラデシュと続きます。

Web版では中国の粉ミルク事件について「世界経済への影響÷命の値段」という変数を考えると、なぜ中国のスキャンダルばかりがあげつらわれるのか分かるでしょ、と書きこんだら今朝までに「賛成」票を投じてくれた人が9人いました。同じ掲示板には「祖国を愛するがゆえに批判する」というような中国の方からの書き込みが続いています。ついに中国語で書きこんだ人がいたのにはちょっとびっくり。