新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

1000の言葉溢れ

10月25日号、ちょっと飛んでInternationalのページにとても興味深い記事を見つけました。少数言語を話す生き残りが死んで、世界からその言葉が永遠に失われるという現象が起きていることについての話なのですが、確かに世界の途上国では征服言語(中央アジアにおけるロシア語や東アフリカにおける英語)に対する国語振興運動が曲がり角に立っています。政府が進める母国語も、知的階級が話さないこと、英語やロシア語ができないと良い仕事に就けないことなどから一向に成果が上がりません。その意味で、日本語など高等教育を完全に実施できる言語は世界にそう多くはない、と言う話を耳にしたことがありますが、少数言語を守るのはなかなか簡単ではないかもしれません。

翻って、多言語を話せた方が頭がいい、と言う議論には(The Economistも多言語の子供の方が優秀だといった学者の意見を参照していますが)いささか疑問があります。なぜならアングロサクソンやロシア人など、どうみても複数言語が得意ではない人たちが国際社会の競争力を握り、自国語を公用語としてアドバンテージを持っている状況は変わらない分、どうみても多言語を強いられるのはハンディ以外の何物でもないと思われるからです。多言語が得意な個人というのは、そもそも頭が良い、または受けられる知的刺激の幅が広いことによりさらに優秀に見える、と言うだけの話ではないかと思うのです。このあたり、アングロサクソンの巧妙な仕掛けなのでは?危ない、危ない。

http://www.economist.com/world/international/displaystory.cfm?story_id=12483451