新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

矛盾。。ん?

11月15日号、Asiaの囲み記事で2002年のバリ島爆弾事件の犯人がインドネシアで処刑されたことに関するオーストラリアの反応についての報告がありました。ちょっと興味をひかれたのは、多数のオーストラリア人を含む観光客が殺傷された事件の首謀者を処刑したことについて支持する意見が多かったため、ラッド首相は国是たる死刑反対の宣言に先立つこと数時間のタイミングでバリ島事件の犯人処刑について肯定するコメントを出さざるを得なかった、というお話です。

読者からのコメントも、この矛盾に満ちた対応は明らかな偽善であるとする厳しいものや爆弾テロと麻薬犯などを区別すべき、といった現実的なものまでさまざまでした。実際問題として日本もインドネシアも死刑は必要なわけで、議論はあっても良いけれど、主権の一部たる司法権は尊重されるべきだよね、だからやっちゃったことは明らかな矛盾かもしれないけど、ラッド首相やその支持者の方はあんまり気にしなくて良いんじゃないの?というコメントを出しておきました。アングロサクソン的には噴飯もののコメントかもしれませんが、現実社会における死刑問題はそのくらい懐を深く構えておかないことにはやってられない話だと思います。支持なんかされなくても、先進国でなおかつ死刑を尊重している日本に暮らすものとして黙っておくべき話ではないと思いましたので。

http://www.economist.com/world/asia/displaystory.cfm?story_id=12601868