新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

11月22日号中盤

昨日に引き続き。The Americasで目についたのはアルベルト・ウリベ大統領が訪日していたコロンビアですが、ネズミ講への対策が後手に回り、ますます金融制度への信用が低下する懸念があるそうで、体制の安定と日系企業進出を足掛かりに日本との自由貿易協定を、ということのようですが、さて。

Middle East and Africaではまず米軍撤退の期日を2011年末と定める案にイラク議会が信任を与えたこと。内容には撤退後の駐留や恒久的軍事基地設置は入らない、ということですが、さて。ジンバブエ問題も。ムガベ大統領が居座り続けて前進の気配なし。

Europeでは内政問題に足止めを食らい、このところすっかり影が薄くなったメルケル独首相。囲み記事では将来の競争相手となるか、緑の党で共同委員長になった43歳、セム・オズデミル氏について。名前が語るように、氏はトルコ系移民の子供です。写真で見る限り、若くてカッコイイので、案外台風の目になるのかな、という印象ですね。ユーロ地域、そしてロシアも経済的には後ろ向きの話題が続き、スペインではバスク急進派への圧力が強まっているとの報。Charlemagneは国内農業保護を優先させようとするフランス政府の態度について。

Britainでは気候変動対策を一年先送りした政府に対する批判、不況の影響で悪化する雇用環境、臓器移植についてドナーの「みなし同意」を認めないことにした英政府、Bagehotでは魔女狩りに見られるような「レッテル貼り」(fixation)が持つ社会的な危険について。子供に魔女が憑いた、といって殺した母親は無罪か?なんとなくイギリスっぽい香りのする社会問題ですね。

Internationalでは、出身国により推薦された国際司法裁判所判事の資質に関する疑問。中国、ロシア、ソマリアなど「自由でない国」やヨルダン、モロッコ、シエラレオネなど「部分的に自由な国」からの選出者に対する差別とも取れる記事が載っています。判事の給与は高く、汚職を誘発するに十分なものである、とさえ取れる記述はThe Economistであってもいささか筆が滑ったと言われても仕方ないのではないでしょうか。もっとも同誌の矛先は一人を除いた途上国出身判事ではなく、むしろ先進国から派遣されている判事に向いています。国連の潘基文事務総長は「地理的配分はひとつの指標にすぎない」との指針を示し、現在進行中の判事選定はある程度能力主義の色彩が表れている模様ですが、結果が判るのは来月とのこと。

またまた長くなったので、あとは明日以降にしましょうか。どうしても三日かかりますね、全部をカバーしようとすると。なかなかウェブ版にまで届きません。

で、ちょっとだけウェブ版ですが。22日付のニュースでオバマ政権の財務長官に内定したティモシー・ガイトナー氏について、すでに日本のメディアでもニューヨーク連銀の若き議長ということで名前くらいは出ていますが、東アジアの専門家で、日本にも財務省のアタッシェとして駐在した経験があり(虎ノ門のアメリカ大使館かな?)、読者のコメントによると中国語および日本語も話せるのでは、とのことですが。なんでも同氏が日本に駐在したのは90年代の「喪われた10年」の真っただ中だったそうで、だとすると最低限の信用を確保してキャッシュを回すことの大切さを身にしみて感じているのではないかと思われます。当然日本政府は接点を模索しだしていることと思いますが、大切な縁になるのではないでしょうか。