新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

危機の次に来るもの

2週間ほどのご無沙汰です。出張で寒い所に行ってたものですから。

さて、12月20日号はクリスマス特集ですが、それよりも目についたのはやはりLeadersの, Fare well, free trade (自由貿易よさようなら、と自由貿易にはカネがかかる、をかけたもの)であり、バーニー・マドフの空前の詐欺事件を報じたDumb money and dull diligenceでしょう。

前者は、特に読者からのコメントがすごい。自分たちが割を食ったと感じている欧米の中流層による自由貿易の被害者意識がモロに出ています。痩せても枯れてもThe Economistは自由貿易の旗手なのですが、だとしても金融危機の後に必ず盛り上がるであろう保護主義への警鐘を、どこまで鳴らせるのか。

後者は、バブルの狂乱がイケイケで攻め上がっているときにできた後ろのスペースにポトリと落ちたボールが、そのままゴールに吸い込まれていったような、なんというか閉まらなさを感じさせる話です。日本のバブル崩壊後も、この手のモラルハザードについての話があちらこちらで聞かれたように思いますが、特に今回のは桁が違う。

いずれも、自由主義経済の弱点が悪い方に出たパターンですが、これを乗り越えるために人類が払わなくてはいけないツケ、耐え忍ばなくてはいけない時間、そして使わなくてはいけない知恵について、ひとしきり泣いた後は建設的な方向へと議論が切り替わって行くことを希望しようと思います。ということで今年もあと10日ほど。