新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

通貨の評価

2月7日号のEconomic focusでは、巷で言われているところの人民元の価値について面白い考察が載っています。曰く、元は安い安いと言われているが、仮に規制を全部撤廃したとすると、中国の富は投資先を求めて海外に流出し、結果として元はもっと安くなるだろう、また購買力平価で考えれば、ビッグマック価格がアメリカの半分という現状は一人当たりGDPの開きとほぼ同水準にあると言えるため、かならずしも元安=アンフェアな輸出競争力、とはならないだろうとの見解です。

読者のコメントには、半ば感情的なほどにThe Economistの論調を非難するものもありましたが、全体的には賛同票を含めて多くがその評価が公正であることを認めるものであったと思います。無論、中国政府が民主主義とは相入れない政策を展開していることは事実であると思われますし、その意味での議論は引き続きなされなくてはいけないものだと信じますが、たとえばガイトナー新財務長官が避難したような「為替操作による利益誘導」は、どのくらい裏付けのある話なのか、という視点での議論は忌憚なく行われるべきものであろうと思います。

レベルの高い議論が交わされる読者コメント欄ですが、円高元安で日本はどれだけ購買面で世界経済に貢献しているか、というような意見がまったく聞かれないのはややさびしい気がします。