新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

現実主義のわかりにくさ

3月14日号のLeadersには、見えてきたアメリカ・オバマ大統領の外交政策に関する論評がでています。ちょっと興味深い話。それによると、何よりも現実主義的な選択が重視されるだろうとのことですが、それはたとえばタリバンを支援したと思われるイランをアフガンの平和構築への話し合いに取りこもうとしていて、レバノンの大統領を暗殺したかもしれないシリアのバッシャール・アサド大統領にクリントン国務長官が対話の用意をほのめかし、昨年グルジアに侵攻したロシアとはNATO対ロシアの枠組みで対話を復活させるとともに核軍縮交渉の更新を働きかける、というように多面的かつ多極的な動きを見ての結論であるようです。

The Economistはオバマ大統領が中国を同盟とみるかライバルと見るかについて断じるのは尚早だろうとしています。「あるべき論」でものごとを単純化してから動いたブッシュ・ネオコン時代から「あるがまま論」の中で国益を追求しようとするその姿勢には閉そく感を打破する意味でたしかに大きな変化が期待できるのでしょう。しかしそれと同時に、それだけ複雑な国際社会の微妙なヒダやアヤを勘定に入れて判断しなくてはならなくなるわけで、つまりはある程度判りにくくなるのだろうな、とだけは言えると思います。