新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

雲の切れ間

5月30日号のLeadersを見ています。
トップは北朝鮮の核問題で、今週はAsiaのトップも北朝鮮です。Leadersでは、北朝鮮単独の脅威というよりもイランの核問題と合せ技的に見ることで脅威が増すこと、そしてそれを抑えるには北朝鮮に対して中国が真剣な対応を取ることが重要との認識を鮮明にしています。つぎは不況にあえぐアメリカ経済と政府による産業政策の関係について。基本的に規制をしないことで民間の活力を生かしてきたアメリカの伝統とは異なって、政府が不況対策という名目で規制強化に走る懸念について述べています。そしてパキスタン北西部スワット州を根城に勢力を高めるタリバンについて、ガイトナー財務長官の訪中と米中為替の安定化について、最後はオープンソースソフトウェアに代表されるネット環境の進化形としての「クラウドコンピューティング」と、サービス乗り換えの不便さによって顧客囲い込みが図られるであろう懸念について。

ざっと見て思うのですが、中国が勃興したというよりもむしろアメリカの経済的落ち込みと、それを真正面から解決しようとするオバマ政権に実は強力な解決策がみあたらないことが、最近アングロサクソン経済、ひいてはThe Economistの論調にも微妙な影響を与えているような気がしています。北朝鮮を解決するのは中国よ、お前だと言ってみたり、タリバンの問題にしても、国際社会の取り組みを鼓舞するトーンは影を潜めてみたり。

そのあたりに見え隠れするアメリカ、もしくはアングロサクソンの変質を、緻密に追いかけておくことで、「超大国アメリカ」の幻影に振り回されずに済むのかもしれないな、と感じています。雲の切れ間に見えたような気がしたのは、希望の光とはちょっと異なる性質のものかもしれません。