新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

脆い理論武装

5月30日号のInternationalで考えさせられたのは気候変動に対する対応があまりにヤマカン頼みではないかとの批判と、さらなる英知の動員を呼びかけるその結論について、でした。

確かにヤマカンかもしれません、その多くは。科学的に見れば「地球全体は冷えている」との分析すらある中で、地上で観測される各地の気温は上がり、確実に北極の氷は解け、氷河は縮小し、ハリケーンは大型化し、日本の夏は暑くなっていて。ヤマカンといって悪ければ、皮膚感として暑くなっている、ということだと思います。

現在、別なところで「意思決定」について勉強しているのですが、「ヤマカンは意外と当たる」というのは意思決定論の半ば常識になりつつある話だと理解します。とはいえ、地球規模でおカネを動かすにはあまりにも雑駁な議論、という批判もあろうかと思いますが、地球環境が不可逆的に変化しつつあることに、なにかせずにはいられないというのも人間として正直な話なのではないかと思います。時間を大事にする考え方と併せて、国際社会はヤマカンを選んだんですね、言ってみれば。さらなる英知の動員もさることながら、ヤマカンでものごとを決めた以上、むしろ大事なのは失敗したときの責任のとり方であり、さらなる負担の覚悟のほうではないかと思ってしまいます。The Economistよ、もっと正面向いて議論しろー。